Knowledge Management Society of Japan

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ここでは、当学会が発行している会員報「KM Report」のバックナンバーを掲載しています。

KM ReportVOL.1


■CONTENTS
○就任のご挨拶
○設立趣意書
○セミナーリポート

■就任のご挨拶


日本ナレッジ・マネジメント学会 会長 奈良 久彌


 ただいまご紹介に預かりました奈良でございます。
この度、皆様のご推挙によりまして日本ナレッジ・マネジメント学会の会長という大任を承ることになりました。全力をあげて取り組んでいきたいと考えておりますのでよろしくお願いしたいと思います。また、この会が発足するまで理事長にご就任なられました森田様はじめ関係者のたいへんなご努力にたいしまして、厚く御礼申し上げます。
 評議員会議長には、亀井正夫様にご就任いただいたわけですが、ご承知のように亀井様は日本を代表する財界のトップであり、私も社会経済生産性本部の理事といたしまして亀井理事長のもとで働かせていただいています。亀井様のご就任によりまして、この会のステイタスもかたまり、私どもも大変光栄に存じているわけでございます。
 私からも亀井様に厚く御礼を申し上げたいと思います。
 ご承知のように、21世紀もあと2年で終わりとなり、昨今は世紀末現象ということで色々な問題が起きています。この20世紀は機械文明の時代であったと思います。
 その結果、大量生産、大量消費の経済となり色々な意味で歪みが出ました。企業経営の面から見ましても、人・物・金から成り立っていますが、最近は人を忘れて物と金を重視したことが、バブルを招いた大きな原因であったと考えています。やはり人が大事だという事で、この学会もここに焦点を当てているわけです。
 人についての力は二種類あり、ひとつは体力であり、先の長野オリンピックでも鍛えられたからだというものがいかに美しいかを感じました。もう一つは知力という頭脳の力です。先般のイラクの問題も、米国が軍事を使うところまで追いつめられましたが、アナン事務総長の大変な努力により平和的解決の方向に向き始めました。これはアナン事務総長の知力のお陰だと思います。その意味でこの学会は人の持っている知力について更に深く研究していこうということであります。
 ご承知のようにシュンペーターが創造的破壊という言葉を使って、人間は壁にあたると創造をして過去を破壊しながら新しいものを築いていき宗教革命、農業革命、産業革命などおおよそ百年ごとに人間の知恵でこれらを解決してきました。
 現在は機械文明の時代ではありますが、21世紀に向かって情報化、高齢化など色々問題があると思います。ここでシュンペーターが言うように新しいものを創造しながらこれに対処することが非常に大事で、当学会が果たすべき役割は非常に重要であるかと存じます。
 幸い、今日お集まりの皆様は各界を代表する方々ばかりで、ご賛同いただいた企業のトップのご理解もあり、皆様と共にこの学会の発展のために尽くしていきたいと考えております。皆様方と共に、新しい良い時代を迎えられるように努力してまいりますので、何卒ご支援のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。
 今日はどうもありがとうございました。


(平成10年2月25日 学会発会式挨拶より)


日本ナレッジ・マネジメント学会 評議員会議長 亀井 正夫

私はこのほど日本ナレッジ・マネジメント学会(以下日本KM学会)評議員会議長に就任致しました亀井正夫でございます。
私は別途、社会経済生産性本部にも関係し、我が国における企業経営の品質向上について努めているところでございます。企業経営の品質につきましては、一昨年日本経営品質賞を創りました。第一回はNEC半導体事業グループが、第2回はアサヒビール及び千葉夷隅ゴルフクラブの2社が受賞致しました。いささかでも日本の企業経営の品質向上に寄与できたと信じております。日本企業の経営はサプライサイドからデマンドサイドに、プロダクトアウトからプロダクトインに急速に変わっていくものと考えられます。
 企業を取り巻く社会環境の変化のスピードは、我々が考えている以上のものがあります。
 経営品質について、例えばアメリカはすでにマルコム・ボルドリッチ賞があり、その賞の表彰会場はホワイトハウスで大統領が授与するというように非常に権威があります。
 昨今におけるアメリカ企業の元気さは、大変なものであります。何がその原動力になっているかといえば、革新的経営に対する飽くなきチャレンジだと思います。
 このチャレンジ精神がアメリカ企業のバイタリティの基礎・土台になっているのではないでしょうか。革新の経営を創り出すことは言うべくしてなかなか難しい事であります。会社で持つ全ての資源を最大限に活用して、その持っている力をフルに活用する必要があるでしょう。会社の持っている力・資源の一番重要なものは、人の力つまりナレッジです。
 このナレッジをいかに上手にマネージするかが企業の力をより力強く発揮させるパワーになります。今回そのような意味で、日本KM学会で会員同士の研究発表を通じ、日本の経営品質向上に繋がることは、私としても大いに期待しているところであります。
 また、評議員会でその年度の優秀な研究を専攻し学会に推薦することになっています。
 どうか、この学会から良い研究が発表され、日本の企業経営の品質向上に資することを期待し、私の挨拶とさせていただきます。
(平成10年2月25日 学会発会式挨拶より)



■設立趣意書


変化に富んだ20世紀も終わりに近づき、21世紀が目の前に迫ってきている。21世紀がどのような世紀になるかは予測できないが、20世紀以上に波乱と変化の世紀になるものと考えられる。

 この変化は単に環境の変化だけでなく、あらゆる分野の価値観に影響を及ぼすであろう。これからの企業経営は単に経営に関するテクノロジーだけでなく、幅広いナレッジと深遠なウィズダムがすべての判断と洞察の根底になければ乗り切れない。

 たとえば、経営の品質、ベスト・プラクティス、ベンチマーキング等々の考え方にしてもその源泉は人間の持つナレッジの現れである。20世紀の機械文明は機械を使いこなすソフトウェアの開発へと進んだが、21世紀はナレッジを基準として新しい価値観を創造しなければならない。従ってその開発に当たっては理念、哲学が要請される時代になるであろう。

 このナレッジは単に企業経営の分野にとどまらず、あらゆる社会現象への対応についても必要である。しかし、このような諸条件のもとでナレッジを基準にした管理のあり方や方法論についての体系的な研究は少ない。人間のナレッジをいかに有効に役立てていくかについて理論体系を確立し、その体系について世界各国との交流を深めていくことが21世紀における大きな課題である。

 このような時代の変化とニーズの変化に対応するため、ここに新しく日本ナレッジ・マネジメント学会を設立するものである。広い視野で科学的に研究するため、単に学会だけでなく、産業界、官界などと共同で研究を推進し、その研究成果を積極的に広く公開し、社会に貢献させていきたいと考えている。



■セミナーリポート


GLOBAL LEADER FORUM

去る4月2日、富士ゼロックス(株)の主催でGLOBAL LEADERS FORUMが帝国ホテルで開催されました。出席者は約430人で盛会でした。テーマは『グローバリゼーションと知識企業』で、午後のセッションは「知識経営のベスト・プラクティス」でした。それぞれのセッションのスピーカーは以下の方々でした。

午前の部
グローバリゼーションと経営ビジョン

◆オープニングスピーチ
富士ゼロックス株式会社代表取締役会長 小林 陽太郎

◆キーノートアドレス
米国アスペン研究所理事長 チャールズ・B・ナップ

◆モデレーター
モデイコープ会長 プロペンドラ・K・モデイ
北陸先端科学技術大学院大学教授 野中 郁次郎

午後の部
知識経営のベスト・プラクティス

◆キーノートアドレス
スウェイゼー ナレッジマネジメント代表 カール・E・スウィゼー

◆モデレーター
一橋大学教授 竹内弘高
エーザイ株式会社代表取締役社長 内藤晴夫
世界銀行プログラムディレクター スティーブン・デニング
米国生産性品質センター社長 カーラ・オデール

◆クロージングリマーク
富士ゼロックス株式会社代表取締役副会長 宮原 明

 それぞれ、ナレッジ・マネジメントについての興味あるスピーチがありましたが、米国生産性品質センター(APQC)のカーラ・オデールさんのプレゼンテーションについて若干取り上げてみたいと思います。


オデールさんのプレゼンテーションによると、アメリカのプラクティスは、次のように変化してきたといっていました。つまり、ナレッジ・マネジメントはすでに1995年に始まり今日に至っているということです。


1995 Knowledge
1994 Transfer of Best practice
1991 Bench Markinig or Best practice
1983 System Quality or Process Improvement
1977 Competitiveness : productivity & Quality

 日本においても、ベンチマーキングやベストプラクティスは常識的なビジネスのアプローチですが、これからナレッジ・マネジメントの段階へ急速に傾斜していくとの感想を持ちました。
 APQCではナレッジ・マネジメントは1993年以来注目し、1997年にはナレッジとその学習の組織について、100以上の企業について一緒に研究してきているとのことでした。
 V.Sにおいては、CEO、CFOと同じランクでCKOつまりChief Knowledge Officerが生まれています。ナレッジ・マネジメントが企業の中に定着しつつあることを感じます。

(M.M)