No.59 2012年7月25日発行 | 日本ナレッジ・マネジメント学会

メールマガジン

No.59 2012年7月25日発行

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   日本ナレッジ・マネジメント学会メールマガジン 
   第59号  2012/7/25
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 編集・発行:日本ナレッジ・マネジメント学会(KMSJ)事務局

□ 目 次
◆知の創造研究部会7月28日開催のご案内
◆TKF-Russia参加者及び発表者の再募集について
◆『ナレッジ・マネジメント研究年報』第12号の投稿募集について
◆<特別寄稿>スマート革命―サービス支配論理によるポストパソコン時代の始まり―その1

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◆知の創造研究部会7月28日開催のご案内
(日本ナレッジ・マネジメント学会理事 知の創造研究部会長 植木英雄)

第20回研究会を下記の要領で行ないますので、ご参集願います。
今回は、最初に横澤公道会員(東京大学特任助教)から「改善能力の海外移転」
に関する最新の研究成果(オランダの大学院の博士論文の要旨)を発表して頂
きます。

続いて、過去3年間の研究成果の主要な事例研究の総括と課題を、各々30分程
度で担当会員から報告して頂きます。要点と課題を深堀する事により、各々の
事例研究では何を明らかにできたのか、課題は何かということを参加者全員で
討論ながら、知の創造の総括と今後の研究課題について検討してみたいと思い
ます。

【研究会の要領】
日時:7月28日(土曜)午後13:00-17:30分
会場:エーザイ株式会社飯野竹早ビル会議室 (午後1時ビル入口に集合)
    (地下鉄丸の内線茗荷谷駅前春日通り徒歩3分)
   http://www.kmsj.org/archive/eisai.gif

第1部 横澤公道 会員(東京大学ものづくり研究センター特任助教)
  テーマ:「改善能力の海外移転:在蘭日系製造企業15社のケース分析」
      (13:10-14:00予定)

第2部【研究プロジェクトの成果発表会】(各報告30分、質疑を含む)
1.創造的な経営文化の醸成と知の創造について
  事例 1 花王における知の創造と経営革新 (矢澤洋一・八代英美 会員)
  事例 2 エーザイの経営理念と知の創造(高山千弘 会員)
  事例 3 オムロンの企業理念に基づく知の創造(植木英雄・佐脇英志 会員)

(休憩)
2.学習するダイナミックな場の展開について
  事例 4 トヨタウェイの組織浸透と学習する場の活用(植木真理子 会員)

3.バリュー・エンジニアリング活動における知の創造について
  事例 5 日立建機とフジタのVE活動事例とKMの融合 (児玉啓 会員)

第3部:「知の創造の実践と経営革新について」 総括討論40分程度
  司会:植木英雄(東京経済大学教授)

参加費:無料(懇親会は実費、一般・会員参加者で出欠未連絡者は7月25日
    までに部会長 宛てに下記のフォーマットで出欠をメールで返信願い
    ます。)
備考:
1.会場ビルが休日で閉まっていますので、午後1時にビル入口で
  高山さんがご案内します。遅参予定者は前日27日までに部会長に
  ご連絡を頂ければ携帯連絡先をお知らせします。
2.終了後に懇親会を会場付近のイタリアン「こんぺいとう」で行います。

第20回定例研究会(7月28日)の出欠ご連絡のお願い:
************************フォーマット***********************
第20回研究会:  参加_ 欠席_(該当欄に○を記入)
懇親会(予算3500円、生ビール、ワイン他飲み放題付):参加_ 欠席_
氏名:
所属:
***********************************************************

それでは、次回7月28日の研究会への奮ってのご参加をお待ちしております。
植木英雄 (東京経済大学教授) h-21ueki@tku.ac.jp

 

◆TKF-Russia参加者及び発表者の募集案内について
(日本ナレッジ・マネジメント学会事務局)

今年9月上旬、ロシア(ウラジオストク)にてAPECが開催されます。これを
記念し、同会場にてTKF-Russiaが下記により開催されることが決定しました。
つきましては、当学会会員の発表希望者と参加希望者の再募集を行いますので、
当学会員並びに関係機関から多くの皆様のご参加をお待ち申し上げます。


日時:2012年11月21日(水)?24日(土)+オプショナルツアー

場所:ロシア極東総合大学(ウラジオストク)

統一テーマ:
「21世紀のアジア・太平洋地域における持続的発展を果たす知の経営(KM)の役割と展開 」
“The Role and Deployment of Knowledge(Chi) Management in the Asia and Pacific region
 of 21st century”
Note: ”Chi is synthetic concept of Knowledge, Wisdom and Mind.”

サブテーマ:
(1)APEC地域に新たな産業クラスターを育成する産・官・学の連携による知の
  ネットワーク化の促進
“Promotion of Knowledge (Chi) Networking among Industries,Governments
  and Academia for new industrial clusters to grow in the APEC region”

(2)APEC地域における人財育成と知の移転の促進策
“Facilitating Human Asset Development and Knowledge (Chi) Transfer
 in the APEC region”

分科会(予定):
1)発想法分科会(TRIZ等)
2)知の経営分科会(企業のベストプラクティス等)
3)医療経営分科会
4)宇宙と都市工学分科会
5)その他KM関する分科会


【TKF-Russia参加者・発表者の応募要領】

TKF-Russiaへの参加希望者と発表希望者は、以下の応募区分及び氏名・住所・
連絡電話・メールアドレスを明記の上メールにて8月10日迄にお申込み下さい。
応募区分:(1)参加のみ応募 (2)参加及び発表の応募
申込先:kms@gc4.so-net.ne.jp

なお、参加費用は旅費(3泊4日20万円)+参加費(3万円)+懇親会費
(5千円)=24万円程度+サンクト・ペテレブルグ・オプショナルツアー
(6万5千円程度)を予定しています。

また、発表は日本語で20分程度(逐次ロシア語通訳)、パワーポイント資料は
英語で作成準備願います。
発表者は、内容要約(英語400字以内)、発表用パワーポイント(英語)のデータ
を8月末迄にKMSJ事務局宛てお送り願います。

(文責)TKF-Russia実行委員 小野瀬由一

 

◆『ナレッジ・マネジメント研究年報』第12号の投稿募集について
(『ナレッジ・マネジメント研究年報』 編集委員長 植木英雄)

『ナレッジ・マネジメント研究年報』第12号の投稿(論文および研究ノート)
を募集いたします。投稿規程と執筆要項(学会ホームページリンク先に掲載)
に基づき、2012年10月31日(水)までに投稿原稿とメディアを学会事務局研究
年報編集委員会宛てに送付してください。

なお、投稿を希望される方は9月28日(金)までに投稿の意思と題名を編集委
員長まで事前にメールでお知らせ願います。
(編集計画の参考にさせていただきます。)
投稿原稿は最近年の年次大会、研究部会等の発表者以外でも投稿できます。

会員の皆さんの奮っての投稿をお待ちしております。
「ナレッジ・マネジメント研究年報」投稿規定
http://www.kmsj.org/news/nenpou_kitei.pdf
「ナレッジ・マネジメント研究年報」執筆要項
http://www.kmsj.org/news/nenpou_youkou.pdf

連絡先:研究年報編集委員長 植木英雄 E-Mail: h-21ueki@tku.ac.jp
送付先:日本ナレッジ・マネジメント学会事務局 研究年報編集委員会 宛
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町3-1-10田中ビル4階

 

<特別寄稿>
◆スマート革命―サービス支配論理によるポストパソコン時代の始まり― その1
(日本ナレッジ・マネジメント学会専務理事 山崎 秀夫)

七年の変化が一年で起こると言われるインターネットの世界では、又大きな動
きが始まっています。アップルの創設者である故ジョブズCEOがポストパソ
コン時代と命名した新しい波です。1995年にマイクロソフト社からWindows95
と呼ばれるコンピューターグラフィックスを駆使したパソコンOSが出て以来、
インターネットを支える機器はパソコンとブラウザーの組み合わせと言う風に
相場が決まっていました。そして多くの場合、インターネットに大量に流れ込
む広告のお金に支えられた、情報は無料と言うフリーのビジネスが成立してい
ました。、しかしWeb1.0とかWeb2.0などと言われたWeb進化論の時代は終焉に
向かいます。

Web時代の個人コンピューティングの形は一人一台のパソコンに代表されてお
り、日本の場合はそれにケータイと呼ばれる電話機が活用されていました。
米国ベライゾンコミュニケーションの予測によれば、スマート機器が中心とな
る2015年には一人が七種類のスマート機器を活用する時代になると言われてい
ます。スマートフォン、タブレットPC、スマートテレビ、スマートカーなど
アプリを持つ機器でしょう。そして従来からのパソコンやテレビ、ゲーム機な
どは携帯電話と同様に再発明の時代を迎えています。

2012年の前半、日本では家電メーカーがテレビで大赤字を出し、スマートフォ
ンでもアップルや韓国のサムスン電子に市場シェアを奪われたと言うニュース
で持ちきりでした。家電敗戦の理由は日本の得意な「摺り合わせ型生産」から
「モジュール部品型生産」へのシフトに円高などの六重苦が重なった為と言わ
れています。

しかし米国の論調を見れば明らかですが、日本家電の敗戦理由を「モノ支配論
理」から「サービス支配論理」への転換の遅れと見ています。この新しいパラ
ダイムに日本企業は乗り遅れ、一方韓国企業は追随していると言う訳です。こ
のサービス支配論理がスマート革命(ポストパソコン時代)の特徴です。

さてサービス支配論理の勝ち組の代表は米国のアップルとアマゾンであり、韓
国サムスンなどが必死で追随しています。アップルとアマゾンのビジネスモデ
ルを見れば判りますが、一連のスマート機器群の上にアプリが載り、インター
ネット上でのサービスの森が茂り、それ全体が閉鎖的な「摺り合わせ型生産の
形態」で作られています。スマート機器の部品や生産工場の調達は、オープン
なモジュール部品やEMS(電子機器の生産代行サービス)を活用しますが、
全体のサービスは閉鎖型です。スマート革命、サービス支配論理の時代の特徴
は、このオープンな対応と閉鎖型の対応の微妙な組み合わせにあります。

更にその特徴を申し上げれば「バリューエンジニアリングの死」です。判り易
く申し上げれば「仕様書の死」、つまりサービスを支えるハードウエア機器の
品質はあまり重視されないと言う点です。その結果、テレビでは過剰品質にた
けた日本勢が負け、タブレットではプライベートブランドの仕様上は大したこ
との無いアマゾン製品が韓国のサムスン電子を打ち負かしています。何故なら
その差はサービスにあるからです。

2012年の米国国際家電見本市では、韓国のテレビと日本のテレビのサービスの
差が明らかになりました。スマートフォンの感覚でテレビを作る韓国勢に対し
て日本の家電メーカーはスピード遅い点は各所から指摘されています。スピー
ドはサービスの一要素です。具体的には、テレビの操作がゼスチャー操作や音
声操作の方向に進み始めているのが明確になっている米国において現在、最も
恐れられているのはアップルが早晩、制作すると見られている幻のアップルテ
レビです。

そして米国市場で最も活用されているインターネット接続型のスマートテレビ
は、サムスン電子のテレビでは無く、マイクロソフトのゲーム機で実現されて
います。このマイクロソフトのゲーム機の特徴が音声操作、ゼスチャー操作で
す。幻のアップルテレビも既にスマートフォンで実現している音声操作などは
必ず活用すると市場では見られています。

音声操作、ゼスチャー操作と言ったユーザーインターフェースの在り方、スマ
ート機器が人の友達に感じられる、MITの社会学者シャリー・タークルの言
うところの「ソーシャルロボット」と言うサービス感覚を持つことが、今後非
常に重要になってきます。

テレビの販売高が世界で一位と二位の韓国のサムスン電子、LG電子はそのこ
とを良く理解している為、米国国際家電見本市では有機ELテレビの発表と共
に音声操作、ゼスチャー操作のスマートテレビを展示しました。その内の一部
であるLG電子の製品はマジックリモコンと共に既に国内でも販売されており、
国内量販店でシャープと人気を争っています。日本勢の家電敗戦は、モジュー
ル部品の問題もさることながら「サービス支配論理」への対応の遅れにありま
す。テレビがネットに繋がり、内部にアプリを持つ過程で重要なのは、有機E
L採用と言った機器の性能では無く、その上に生えたサービスの差になるでし
ょう。

次回はアップルやアマゾンなどのサービスに関して述べます。

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<編集後記>
メルマガの内容についてのご意見、ご感想及びメールアドレスの変更などは
以下のアドレスにお願いします           (編集長 松本 優)

学会アドレス:kms@gc4.so-net.ne.jp
編集・発行:日本ナレッジ・マネジメント学会(KMSJ)事務局(森田 隆夫)
問合先 日本ナレッジ・マネジメント学会事務局
TEL:03-3270-0020 E-Mail:kms@gc4.so-net.ne.jp